近年、Web広告の普及により、誰でも簡単に広告配信を行えるようになりました。配信量の増加に伴い、過度な表現や間違った情報を発信する広告も多く目にするようになりました。
それを受けて、広告やWebサイトなどに対して様々な表現の規制をかける法律が制定され、その規制内容は時代の流れに応じて日に日に変化し、罰則も厳しくなっています。
今回は、誤って自分の広告表現に規制をかけられないよう知っておくべきことや表現内容を見ていきます。扱う商材やサービスが誤解されないために、また意図せず罰則を受けないために一緒に学んでいきましょう。
景品表示法は昭和37年に制定され、その名の通り「景品」と「表示」に対して規制・制限を行うための法律です。
具体的には、
など、消費者が不利益を被るような「景品」や「表現」を規制します。
本記事ではまず、広告に関連した規制についてお伝えするため、景品表示法における「表示」について詳しく見ていきます。
優良誤認表示(5条1号)
商品やサービスの品質や規格およびそれらを示す数値の不当表示
消費者庁が優良誤認表示の有無を確認する必要があると判断した場合、サービスや商品に関する表示についてその根拠となる資料の提出を求められる場合があります。
有利誤認表現(5条2号)
商品やサービスの価格、またその取引条件についての不当表示
さらに細かい規制内容に関しては消費者庁のホームページに記載されているのでそちらをご確認ください。
引用:消費者庁ホームページ「表示規制の概要」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/
消費者庁による表示内容等の調査が行われ、不当な景品や表示であると判断された場合、指導や措置命令が行われ、当該企業には課徴金が請求されます。
消費者庁以外にも都道府県知事などが同様の同様の措置命令を行うことが可能です。
先述したように景品表示法では、競争相手と比較した場合の具等な表示を規制していますが、何も「商品の比較」事態を否定しているわけではありません。
商品の比較に関しての細かいガイドラインも明記されているので確認していきましょう。
何よりも大切なのは、一般消費者に対して表現の内容が誤解を与えないことです。
消費者庁はそのために必要な以下の3つの要素を明らかにしています。
1.比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること。
例:予備校の広告で「大学合格実績 No.1」と主張していたが、実際にはその予備校が独自で調査した結果であり、事実とは異なっていた。
この場合、広告に記載している内容が客観的事実と異なるため、不当表示に当たる。
2.実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること。
例:通信会社の広告で「業界最速の通信速度」を謳い、他社サービスの通信速度を記載していたが、データの取得時期や地域を明確にせず、自社のサービスがあたかも最もすぐれているように一般消費者に誤解を与えた。
広告中に調査に関するデータを記載していないため、不当表示にあたる。
3.比較の方法が公正であること。
例:携帯会社のサービス比較で、「他のどの携帯会社よりも月額の料金が安い」と記載していたが、実際には別の有料なサービスへの加入が必須条件となっており公正な比較とは言えないため、不当表示となる。
引用:消費者庁ホームページ「比較広告」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/comparative_advertising/
景品表示法について、広告表現にどのような規制があるのか詳しく見てきました。
次に、商材は限定されるものの、厳格な規制がある薬機法についても詳しく見ていきましょう。
薬機法は基本的に医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の品質、有効性及び安全性確保することを目的に制定された法律です。
2014年に当時の薬事法から改正され、再生医療関係の項目の追加や、安全性に関する規制の強化などが主な改善の内容でした。
景品表示法に続き、薬機法に関しても広告配信を行う上で注意すべき内容を詳しく見ていきましょう。
引用:厚生労働省ホームページ「医薬品等の広告規制について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html
薬事該当製品がこの誇大広告の審査の対象になります。
薬事該当製品とは
が当たります。厚生労働省はこれらの広告規制における「誇大」の定義をガイドラインとして公開しています。
引用:厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf
化粧品を例にとって見ると、
引用:厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb7518&dataType=1&pageNo=
上記の化粧品の様に、それぞれの製品に関するガイドラインが設けられています。
この第六十八条に関しては、具体的に以下の様な薬事非該当製品が規制の対象になります。
上記の3つの食品や雑貨に関して、その製品があたかも医薬品や医療機器であると勘違いする様な表現になっていないか注意が必要になります。
健康食品を例にとって見ると
ただしこれらの表現が利用できる例外も存在し、
上記の2つの食品に関しては、消費者庁の審査を経ているため、一般消費者がその効能を信用し、安心して利用できる食品であるとも言えます。
さらに詳しい情報は厚生労働省ホームページに記載されているのでそちらもご覧ください。
引用:厚生労働省ホームページ「健康食品」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
上記の3つが医療品など、薬機法に関する広告を配信する上で理解するべき要素になります。
さらにこの薬機法は2021年8月より新たに改正されることとなりました。
どの様な変化があったのかについてまで詳しく見ていきましょう。
2021年8月より、景品表示法と同様に薬機法に対し課徴金制度が導入されました。
広告に係る事業者にとって最も重要なのは、この課徴金の対象が「何人」(違反した広告に係る全てのひと)となることです。※景品表示法では課徴金の対象は「事業者」のみ
つまり、配信されている広告が違反であると判断され、課徴金が発生した場合、契約書等で広告の違反に関しての責任の所在が明確になっていなければ、この広告に関わった
など、全ての人が処罰の対象となってしまいます。
さらに注意しなければならない点として、今回の薬機法の改正に伴う課徴金は
「違反している広告の配信が、故意か過失かに関係なく処罰の対象になる」
という点です。
景品表示法の場合、過失の表示に対する猶予があり、配信した広告や表示が景品表示法に違反していると事業者が認識していなかった場合には課徴金が減額または免除される可能性があります。
しかし、今回の薬機法で適用される課徴金は故意か過失かに関係なく処罰の対象になってしまうため、代理店や制作会社が故意ではなくうっかり薬機法に反するような内容で広告配信をしたことでその広告に係る全ての人が課徴金の対象になってしまうということなのです。
今後は薬機法に関する基本的な知識と、広告に係る企業同志のお互いの監視体制や連携などが必須になってきます。
実は配信中のLPを、広告主や制作会社、代理店など広告に係る全ての人がチームで運用できるツールがあります。
その名もSquad beyond。
チームに招待された人はLPの編集はもちろんのこと、LPの編集履歴や誰が編集を行なったのかなど、運用に関する細かい情報の閲覧が可能です。
Squad beyondにはまだまだ紹介しきれない様々な機能があります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください↓
今回は広告の表現で規制を受けないために知っておくべきことを景品表示法と薬機法の観点から見ていきました。世の中の流れが真っ当な広告の配信へと向かっていく中で、広告の運用者や作成者として理解しておくべきことをしっかりと認識しておきましょう。