「広告代理店で働いてます!」と聞くとなんかカッコイイなぁと思ったり
「そこは広告代理店に聞いてみよう」という会話が社内で飛び交ったり
広告代理店って何となくイメージ出来てるものの、いまいち何をしている人たちなのか分かりませんよね。
今回は、「広告代理店って、一体何をしているの?」という疑問について、概要を整理します。
広告代理店の概要
広告代理店とは、”メディアの広告枠を広告主に売り、代理手数料を得る“というのが基本形態です。
広告枠とは、新聞・雑誌・ウェブサイトの広告するための部分、テレビCMなどのことです。
ただ、時代と共に広告枠の売買仲介だけでなく、広告の作成の仲介もしくは広告作成そのものを行ったり、更には商品開発やイベントのプロデュースなどを行うなど、クライアント企業の広告活動全般を代理的に行うという役割に変わってきています。
補足知識ですが、テレビ・新聞・雑誌・ラジオのことを「4大マスメディア(以下、4マス)」、その広告を「4マス広告」と言います。
次に、看板やフリーペーパー、プロモーションメディア
最後に、イメージ通りだと思いますが、現在は、インターネットが普及していますので、インターネット広告の需要が拡大しています。
企業は、価値のある商品やサービスを開発したならば、もちろん沢山売りたいですよね?しかし、いざ広告を出したいと思ったらどうしましょう?
もしあなたが広告を出したくなったら?
もし、あなたが「テレビCMを出せるレベルの大企業を今この瞬間に作れた」としたら、どうなるか考えてみましょう。
そして、あなたが”美味しすぎるレトルトカレーを作った”として、その宣伝をするためにテレビCMやインターネットで広告すると決めることでしょう。
そうすると
「カレーを美味しそうに食べてくれる芸能人を起用してCMを配信したい」
とか
「沢山の人が利用しているニュースアプリ、カレー専門のウェブサイト、人気のカレーブログなどにインターネット広告を配信したい」
なんて、考えますね。
しかし、全くどうすれば良いのか分かりませんね!
芸能人を雇うことも、素晴らしい動画を作るのことなんてできませんね。
アクセス数が多いサイトを調べるのも大変ですし、そもそも自社のカレーを広告に出して効果がありそうなサイトを見つけられないかも知れませんし、その広告に使う文言や画像を作ることもできません。
無理矢理クオリティの低い広告を作って、どうにか配信することが出来たとしても、折角の自慢のカレーが美味しいと思ってもらえませんし、会社のブランドイメージも損なわれてしまいます。
というわけで、あなたは広告枠も押さえられないし、広告の企画も制作もできませんので、それらのノウハウのある「広告代理店」に広告を依頼することになるのです。
広告代理店の歴史
広告代理店の業務が何となく理解できたと思いますが、広告代理店の歴史も見ておくとより分かりやすくなるので少し確認しておきましょう。
広告代理店の誕生
江戸時代初期から看板や暖簾(のれん)、今でいるチラシである引き札という広告自体はありましたが、江戸時代後期(幕末)に新聞が盛り上がって行って明治になって、とうとう広告代理店が登場しました。
各新聞社の広告収益の重要性は高まり、広告を利用して売上を拡大したい企業も増加し、それを繋ぐ広告代理店の数も増加していきました。
戦後は新聞に加えラジオ主流となり、次に雑誌、そしてテレビが加わり4大マスが出来上がりました。
テレビ時代
1964年の東京オリンピックをキッカケに白黒テレビの普及が一気に加速しました。1976年にはカラーテレビの普及率94%に到達し、テレビ時代の全盛を迎えます。
景気が好調だと、企業が宣伝に使えるお金(広告費)も増加します。1986年頃からのバブル景気では、広告費も膨らみ、テレビ業界は黄金期を迎えます。
テレビCMを扱う代理店は、大きく成長することとなります。
インターネット時代
1991年バブル崩壊で契機と比例して4マスが縮小傾向していきます。
バブル崩壊頃はインターネットは3%未満の普及率でしたが、ADSL・光回線・3G・4Gと回線は進化し、ノートパソコン・スマートフォンなど端末も登場し、現在ではインターネット普及率は80%となっています。
皆が常にどこでもインターネットに繋がるようになっているんですね。特にスマートフォンは、一家に一台のテレビと違い、一人に一台の端末です。
つまり、広告が一人一人の手元に届く時代になったということですね。
広告代理店の現状
広告代理店と言えば、電通や博報堂という会社が有名です。
これら大手の広告代理店は、4マス広告(特にテレビ)に強みを持っていて、売上を上げています。
しかし、インターネットが普及普及し、ITの進化が進むことで、4マスを利用するするユーザーが減り、広告したい企業がかける広告費は減少傾向にあります。
テレビ広告にかけられている広告費は2兆円弱ですが、インターネット広告は毎年10%の勢いで伸びており1.5兆円を超えて、あと数年でテレビ広告を追い抜くという状況です。
サイバーエージェントが、インターネット広告の制作に非常に大きな強みを持つ広告代理店になりますね。
以前は、個人や小規模の企業でもインターネット広告を掲載して効果を得られましたが、広告の技術が進化し続ける中で、その変化についていくのは至難の技です。
変化のスピードが速く専門的な知識が必要な広告の技術に、自社でついていこうとすると、そもそもの商品やサービスの質の向上や開発に悪影響がでます。
さっきの例だと、インターネット広告の技術の勉強に追われて、カレー作りに専念できなくなるってことですね。
よって、インターネット広告代理店の存在は無くてはならないものなのです。
おわりに|広告代理店の今後
欧米ではコンサルティング会社が広告代理業に参入してきているため、日本でもコンサルティングファームが広告代理業に参入してくることが考えられます。
4マスの広告枠を持つ代理店、インターネットテクノロジーに強いインターネット代理店、戦略のプロであるコンサルティングファームの参入、広告代理店の競争は激しくなってくると予想できます。
また、インターネット広告が、テレビ広告の規模を追い抜くのは時間の問題ですし、インターネットの技術の進化はとてつもなく早いです。
最近はAIの普及も進んでいますよね。
広告に関する技術をアドテクノロジー(アドテク)と言いますが、アドテクとAIの進化に対応できる、”進化し続ける広告代理店”のみが生き残っていきます。
広告代理店は古くからある業態ですが、最新のテクノロジーと共にあるお仕事をしているのです。